メルセデス・ベンツ日本は2018年6月6日、新型Gクラスを発表。
同日より注文受付が開始されたのは「G 550」「メルセデスAMG G 63」。価格は、G 550が1562万円、メルセデスAMG G 63が2035万円。
新型Gクラスのテクノロジー
新設計ラダーフレーム
新型Gクラスには、Gクラスの誕生から継承されているオフロード走行に適したラダーフレームを新設計しました。新設計ラダーフレームは、最大3.4mm厚のスチール鋼板を「ロ」の字型にした鋼材から制作し、MAG溶接技術で組み立てることで、悪路走行時に求められる強度、剛性、安全性を高めています。
新開発の専用サスペンション
新型Gクラスのサスペンションは、Gクラス開発チームとメルセデスAMG社が協業し、フロントのダブルウィッシュボーン独立懸架サスペンションと、リアのリジッドアクスルを組み合わせて開発しました。
フロントのダブルウィッシュボーンサスペンションのコンポーネントはいずれも、サブフレームなしでラダーフレームに直接取り付けられています。フレーム上のロアウィッシュボーン取り付け点は、走破性向上のため高い位置に設定されています。さらに、Gクラスは、フロントのディファレンシャルギアに対して270mmの地上高を確保し、オフロード性能の向上に貢献しています。*社内参考値
以下が主な新型Gクラスの性能です。
- 登坂能力:適切な路面で最大100%
- 前後アクスル間最低地上高:24.1cm(従来比+6mm)
- 最大渡河水深:水中・泥中走行時70cm(従来比+10cm以上)
- 安定傾斜角度:35°(従来比+7°)
- デパーチャーアングル:30°(従来比+1°)
- アプローチアングル:31°(従来比+1°)
- ランプブレークオーバーアングル:26°(従来比+1°) *社内参考値
独立懸架サスペンションの採用により、ボディフロントエンドの剛性を高めることが可能となりました。サスペンションブリッジと呼ばれるストラットタワーブレースによりフロントストラットタワーを接続することで、ラダーフレームのねじり剛性を高めています。
リアサスペンションは、トレーリングアーム左右各4本とパナールロッド1本を備えた新型リジッドアクスルを採用しています。これにより、オンロード走行の快適性がさらに向上していいます。さらに、オフロードでの走破性能の向上に寄与しています。
ドライブモード
新型Gクラスは、ダイナミックセレクトによって路面や走行状況に応じて瞬時に5つのドライブモードを切り替えることが可能です。エンジンやトランスミッション、サスペンション、ステアリング、運転支援システムの特性によって、「コンフォート」、「スポーツ」、「エコ」、「インディビジュアル」の4モードに加えて、今回追加された「Gモード」が選択可能となります。
「Gモード」は、3つのディファレンシャルロックのいずれかを作動させる、または通常より2倍以上の駆動力を発揮するオフロード用低速ギアのLOW RANGEを選択した場合に有効になります。このオフロードモードは、シャーシの調整式ダンパーとステアリング、アクセル特性を変更し、不要なギアシフトを回避することにより、最適なコントロールと最大限の悪路走破性を確保します。作動時には小さな「G」のアイコンがインストゥルメントクラスターに点灯します。
約170kg軽量化したボディ
今回の改良では、高張力/超高張力スチールおよびアルミニウムによる新しい材料構成と、ボディパーツ毎に最適な素材を採用して約170kgの軽量化を達成しました。例えば、AピラーおよびBピラーなどのボディシェルは耐荷機能を持つことを考慮して高張力スチール製とし、フェンダー、ボンネット、ドアはアルミニウム製となっています。
今回の改良により、フレーム、ボディシェル、ボディマウントのねじり剛性は、先代で6,537Nm/degだったものを1万162Nm/degと、約55%向上しています。そのため、先代と比較して、自然なドライビングダイナミクスや快適性の改善に加えて、ノイズレベルなどの面で品質が向上し、それによって走行中に室内で感じられるノイズや振動が顕著に減少するという大きな効果が得られました。*数値は社内参考値
新型9G-TRONICトランスミッション
トルクコンバーターハウジングをアルミニウム製、ギアハウジングをマグネシウム製とした9-GTRONICトランスミッションは、前進ギアが2速分増えたにもかかわらず、従来の7G-TRONICと比較して1kgの軽量化されています。さらに、増えたギアにより同じ速度でも高いギアを使ってエンジン回転数を低くすることが可能となり、消費燃料の低減に貢献しています。
また、3つの回転速度センサーを用いて速度条件に応じて最も高いギアを最適に選択し、前進9段のギアを素早く切り替えることによってエンジン回転数を低く抑え、ノイズと振動を低減し快適性を向上しています。作動油には高効率で低粘度のフルードを使用することで、燃費を改善し、耐久性も向上しています。
新型ステアリング
今回の改良により、ステアリングは、従来のボール&ナット形式から電動機械式ラック&ピニオン式のステアリングへ変更し、ドライビングフィーリングを大幅に改良しました。選択したドライブモードに応じて、「コンフォート」、「スポーツ」、「オフロード」の3セットのステアリング特性を切り替えることが可能となり、オンロードでは快適またはスポーティな操舵感が確保される一方、未舗装の不整路では直接的で正確なフィードバックが得られます。さらに、いずれの場合も十分なパワーアシストが付加されます。
また、電動機械式に切り替えることで、パーキングアシストやアクティブレーンキーピングアシストなどの運転支援システムを搭載することが可能となりました。
4.0ℓ V型8気筒直噴ツインターボエンジン
新型Gクラスには、4.0リッターV8気筒直噴ツインターボエンジンをベースに開発されたM176型エンジンを搭載しています。最高出力422PS/310kW、最大トルク610Nmを発揮します。今回の改良により、気筒休止システムを採用しており、エンジン負荷に応じて気筒を休止して燃費効率を向上しています。
エクステリア
新型Gクラスのエクステリアは、堅牢なプロテクションモール、テールゲート外側のスペアタイヤ、外部に設けたドアヒンジとボディ面に載せるスタイルのボンネット、突出したウィンカーなど、オフローダーとしての個性を主張するデザインや装備をスクエアフォルムに搭載し、Gクラス独自のデザインを踏襲しています。なお、エクステリア上の特長のひとつであるフラットなフロント/サイド/リアウィンドウは、リアウィンドウを除いてすべて微細な曲面を描いており、オフローダーとしての個性を継承しながらもエアロダイナミクスを向上しています。一方、今回の改良により、新デザインのフロントラジエターグリル、フロントバンパー、丸形のLEDヘッドライト/LEDリアコンビネーションランプを採用し、Gクラスの個性を色濃く残しながらも、最新のメルセデスデザインによって大幅にアップデートされました。
また、今回の改良により、ボディサイズ*は、従来モデルと比べると、全長が4,817mm(+53mm)、全幅が1,931mm(+64mm)と拡大しており、オフローダーとして強い存在感を発揮しています。*欧州参考値による比較
G550 | 463との比較 | G63 | |
全長 | 4817 | +53 | 4873 |
全幅 | 1931 | +64 | 1984 |
全高 | 1969 | 1966 |
インテリア
新型Gクラスのインテリアは、オフローダーとしてのGクラスの伝統と最新のメルセデスのデザインが融合した室内空間に仕上がっています。
アイコニックなエクステリアパーツをモチーフにインテリアはデザインされています。Gクラスの特徴的な円形ヘッドライトの形状は左右のエアアウトレット、ウィンカーをイメージしたスピーカーなど、インテリアでもその個性を強調しています。
さらに、助手席前方のグラブハンドルや、3つのディファレンシャルロックを操作するクローム仕上げのスイッチなどは、今回の改良においても、Gクラスならではのインテリアパーツとして継承されています。また、厳選されたレザーや上質なウッドトリム、随所に施されたシルバー加飾などを採用し、ラグジュアリーな個性を強調しています。
また、新デザインのインストゥルメントパネルは、12.3インチの高精細ワイドディスプレイ2枚が1枚のガラスカバーの下で視覚的に融合したワイドスクリーンコクピットです。さらに、コントローラーを備えたタッチパッド(センターコンソール上)を採用し、触覚的な反応と車載スピーカーからの音によるフィードバックにより、前方の路面から目を離すことなく操作可能です。
全席でスペースを拡大
新型Gクラスは、大型化に伴い、室内各部のサイズを拡張し、運転席と助手席だけでなく、後席の居住性も大幅に向上しました。
対象箇所 | 従来型比 |
前席レッグルーム | +38mm |
後席レッグルーム | +150mm |
前席ショルダールーム | +38mm |
後席ショルダールーム | +27mm |
前席エルボールーム | +68mm |
※欧州仕様参考値
なお、後席シートは分割可倒式で60:40と変更可能です。Gクラスのシートは、いかなる走行状況においても安全かつ快適にお過ごしいただけるようにラテラルサポートが強化されています。
安全運転支援システム
新型Gクラスには、今回の改良により先進の安全運転支援システムが搭載され、安全性、快適性、利便性が大幅に向上されました。
全モデルに標準装備の「レーダーセーフティパッケージ」をはじめとする安全運転支援システムは、ドライバーの疲れを最小限に抑える快適性が安全なドライブに貢献するという思想に基づき、安全性と快適性を高次元で融合させたもので、メルセデス・ベンツではこれを「インテリジェントドライブ」と総称しています。
車間距離を適切に維持するとともに、先行車が停止した場合は減速して停止する渋滞追従機能を備えた「アクティブディスタンスアシスト・ディストロニック」、ドアミラーの死角範囲をレーダーによってモニターして危険性を警告する「ブラインドスポットアシスト」や衝突回避をサポートする「アクティブブレーキアシスト(歩行者検知機能付)」、衝突時の乗員へのダメージを最低限に抑える「PRE(プレ)-SAFE(セーフ)®」、一般道や高速道路の制限速度を表示する「トラフィックサインアシスト」などを含めたレーダーセーフティパッケージを標準装備しています。
また、夜間の安全なドライブをサポートするマルチビームLEDヘッドライトを採用しています。片側84個のハイパフォーマンスLEDを瞬時に個別に制御することで、前走車などのドライバーを眩惑せずに、より広い範囲を明るく正確に照射し続ける先進のシステムです
安全性に加え、大型化したGクラスの利便性を向上する装備として、車両周囲の状況をモニターする「360°カメラシステム」、自動操舵・ブレーキ機能により縦列駐車と車庫入れをアシストする「アクティブパーキングアシスト」を標準装備しています。
テレマティクスサービス「Mercedes me connect」を全モデルに標準装備
自動車が通信することによりお客様の利便性を向上する先進的なテレマティクスサービス「Mercedes me connect」は、「24時間緊急通報サービス」などを最長10年間無償でご提供する「安心安全サービス」、「リモートドアロック&アンロック」などを3年間無償でご提供する「快適サービス」、メルセデス・ベンツ 24時間コンシェルジュサービスを1年間無償でご提供する「おもてなしサービス」の3つのサービスカテゴリーから構成されます。
メルセデスAMG G 63
「メルセデスAMG G 63」は、オフローダーとしてのGクラスに、AMGのモータースポーツで培ったテクノロジーを搭載したトップパフォーマンスモデルです。
メルセデスAMG社が完全自社開発した、最高出力585PS(430kW)(従来型比+14PS/+10kW)、最大トルク850Nm(先代比+90Nm)を発揮するAMG 4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン「M177」が搭載されます。砂型鋳造されたクローズドデッキのアルミニウムクランクケースに鍛造アルミニウム製ピストンを組み合わせることで、軽量かつ高強度なエンジンを実現しました。また、シリンダーウォールにスチールカーボン材を溶射コーティングするNANOSLIDE®摩擦低減加工を施すことで、フリクションロスを低減しています。
2基のターボチャージャーはV型シリンダーバンクの外側ではなく内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトとしました。エンジンを可能な限りコンパクトにするとともに、ターボチャージャーへの吸排気経路を最適化することで、優れたレスポンスを実現します。
また、メルセデスAMG G 63専用装備として、圧倒的なパフォーマンスに対応するAMG強化ブレーキ、コーナリング時やブレーキング時には、硬いスプリングレートに瞬時に切り替えることで、高い安定性と思いのままの俊敏なハンドリングを実現する「AMG RIDE CONTROLスポーツサスペンション」を採用しています。
なお、お客様の多様なご要望にお応えするため、従来型のGクラスも継続して販売いたします。
メーカー予定小売価格(消費税込み)
モデル | ステアリング | エンジン | メーカー希望小売価格( )内は消費税抜き車両本体価格 | |
G 550 | 左 | 4.0L V8直噴ツインターボ | ¥15,620,000 | (¥14,462,963) |
メルセデスAMG G 63 | 左/右 | 4.0L V8直噴ツインターボ | ¥20,350,000 | (¥18,842,593) |
| G550 | G63 |
エンジン | M176 | M177 |
全幅 | V型8気筒4.0リッター直噴ツインターボエンジン | AMG V型8気筒 4.0リッター直噴ツインターボエンジン |
最高出力 | 310kW(422PS) | 430kW(585PS) |
最大トルク | 610N・m | 850N・m |
<Source : メルセデスベンツベンツ日本>